【甘酒横丁・人形町】江戸〜大正創業の老舗グルメ8選|下町の食文化を歩く散策ルート完全ガイド

人形町の「甘酒横丁」と呼ばれるエリアには、戦災を免れたことで江戸〜昭和初期創業の老舗が密度として残る、東京でも稀有な食文化圏が広がっています。

京菓子・人形焼・鯛焼き・煎餅・豆腐・ほうじ茶・純喫茶——これらすべてのジャンルが、徒歩5分圏内に「現役の老舗」として揃って現存している街は、東京を見渡してもそう多くありません。

本記事では、当社(nodomaru)の不動産仲介担当が、お客様を人形町にご案内するときに必ずお勧めしている江戸〜大正創業の老舗グルメ8店を、散策ルートに沿って正直にお伝えします。「下町文化を体感する半日散歩」として、人形町の魅力を肌で感じていただけます。

「甘酒横丁」の名前の由来——双葉が継ぐ食文化の核

そもそも「甘酒横丁」という名前は、明治末から戦後にかけてこの通りにあった甘酒屋「尾張屋」が由来とされています。尾張屋廃業後、地域の食文化を絶やすまいと、3代続く豆腐店「双葉」が甘酒販売を引き継ぎ、現在に至ります。

つまり、「甘酒横丁の名を継ぐ豆腐店・双葉」が、このエリアの食文化の核。本記事も、双葉を起点に散策する形でご紹介します。

1. とうふの双葉|【甘酒横丁の名を継ぐ】明治40年創業の豆腐&甘酒

1907年(明治40年)、創業者・田中篠作が故郷山梨にちなみ「甲州屋」として深川で創業。戦後1948年に人形町に移転し、下町で4代続く老舗豆腐店です。

店裏では100年以上稼働する豆腐工房が現役。素材は国産大豆「オオスズ」と天然にがり。そして冒頭で触れた通り、甘酒横丁の名の由来となった甘酒屋「尾張屋」廃業後、3代目が地域文化を絶やすまいと甘酒販売を引き継いだ、本記事のテーマの中核を担う一軒です。

nodomaruのおすすめポイント

「甘酒横丁を歩く」なら、まずここで甘酒を一杯飲んで街を体感するのが正解。豆乳ドーナツを片手に、ジャンボがんもをお土産に。1階の物販だけでなく、2階では豆腐料理の御膳もいただけます。

名物・看板商品

  • 甘酒・甘酒ソフト 300円前後
  • 濃い豆乳 300円
  • ジャンボがんも
  • 豆乳ドーナツ
  • 2F食事処:定食850円〜/ゆば御膳1,500円

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町2-4-9
  • 最寄り駅:人形町駅A1出口 徒歩1分/水天宮前駅 徒歩2分(甘酒横丁内)
  • 営業時間:1F物販 月〜土7:00〜19:00/日10:00〜18:00。2F食事処 ランチ11:00〜14:00、ディナー17:00〜22:30
  • 定休日:1F年中無休/2F日祝
  • 電話:1F 03-3666-1028/2F 03-3665-1028
  • 公式サイトhttp://www.tofunofutaba.com/

2. 玉英堂彦九郎|【最古の京菓子1576年】安土桃山時代から続く京菓子司

本記事最古の老舗。1576年(天正4年)、織田信長が安土城を築き始めた年、京都三条河原町で創業した京菓子の名門です。州浜菓子を御所に納め「御州濱司」の称号を授かりました。屋号は寛政の三奇傑・高山彦九郎が三条橋の茶店に立ち寄った逸話に由来します。

戦災を免れた人形町に1954年(昭和29年)に出店。親子孫三代の家族職人だけで製造販売を続け、当代は二十三代目。450年以上の歴史を持つ京菓子の技を、人形町で味わえる稀有な一軒です。

nodomaruのおすすめポイント

看板の「虎家㐂(とらやき)」は、秘伝の餡を包んだ大判焼きの逸品。京菓子の世界で「御所御用」の称号を持つ店は数えるほど。手土産や接待での贈答には抜群の格を持ちます。

名物・看板商品

  • 虎家㐂(とらやき) 6個入2,400円
  • 玉万(薯蕷饅頭) 2個入1,700円
  • 州浜だんご・上生菓子

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町2-3-2 玉英堂ビル1F
  • 最寄り駅:人形町駅A1出口 徒歩1分/水天宮前駅7番出口 徒歩2分
  • 営業時間:月〜金9:00〜20:00/土9:00〜19:00/日祝9:30〜17:00
  • 定休日:不定休
  • 電話:03-3666-2625
  • 公式サイトhttps://gyokueidou.com/
  • 食べログhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13006478/

3. 三原堂本店|【水天宮のお膝元・明治10年】御守最中と岩塩の塩せんべい

1877年(明治10年)、初代・三原田宗元が福井県若狭から上京し蛎殻町で創業、明治20年に水天宮前交差点へ移転。「情けありまの水天宮」の伝で五の日のみ一般参拝が許された江戸の名残から、それ以外の日の参拝客に水天宮の許可を得てお守りを分けていた逸話が、看板「御守最中」の由来です。

戦災を免れた人形町で150年近く続き、2022年に5代目が継承。水天宮との縁が深く、安産祈願参拝後の手土産としても定番の一軒です。

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水天宮前交差点の角という抜群の立地。塩せんべいはドイツ岩塩+伯方の塩で焼く本格派。お土産用の御守最中・どら焼を片手に、水天宮参拝とセットで楽しむのが王道コースです。

名物・看板商品

  • 塩せんべい 23枚入1,250〜1,545円(ドイツ岩塩+伯方の塩)
  • 御守最中 1個約126円
  • どら焼(醤油入り皮)1個約200円

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町1-14-10
  • 最寄り駅:水天宮前駅8番出口 徒歩0分(交差点角)/人形町駅A2出口 徒歩2分
  • 営業時間:平日・土9:30〜19:30/日祝9:30〜18:00
  • 定休日:元旦のみ
  • 電話:03-3666-3333
  • 公式サイトhttp://www.miharado-honten.co.jp/

4. 壽堂|【向田邦子も愛した黄金芋】明治17年から140年の京菓子司

1884年(明治17年)、日本橋蛎殻町にて創業。明治40年代に現在地に移転。看板「黄金芋(こがねいも)」は明治30年代初頭に考案され、創業当初から商標登録されている逸品です。

白いんげん豆と卵黄を練り合わせた黄身餡を、ニッキで包んだ芋型の菓子。向田邦子のエッセイ『女の人差し指』にも登場するなど、多くの文人に愛されてきました。1日2,000個以上を手作りし、座売りの伝統スタイルを今も継承しています。

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ニッキ(シナモン)の香りが鼻に抜ける独特の風味は、他では味わえない壽堂ならでは。文学好きの方への手土産にも最適です。

名物・看板商品

  • 黄金芋 1個200円
  • 夏季限定 氷ようかん
  • 吹寄せ(干菓子)

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町2-1-4
  • 最寄り駅:水天宮前駅7番出口 徒歩1分/人形町駅 徒歩4分
  • 営業時間:月〜土9:00〜18:30/日祝9:00〜17:00(売切れ早仕舞いあり)
  • 定休日:無休(元日・1月2日休との情報あり)
  • 電話:03-3666-4804
  • 食べログhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13000003/

5. 人形焼本舗 板倉屋|【人形焼発祥の店】明治40年から手焼きひと筋

1907年(明治40年)創業。初代・藤井貞三が乾物店として始め、人形町の名物を作りたいと菓子職人・吉本民生と共に、大阪の釣鐘形焼きまんじゅうをヒントに七福神型の焼きまんじゅうを開発、後に「人形焼」と命名した”人形焼発祥”を主張する店です。

1965年に現在地で人形焼専門店として開店し、創業以来手焼き・無添加を守り続け現在4代目。「6つの神様+お客様の笑顔で七福神」が店のコンセプトです。

nodomaruのおすすめポイント

人形町の代名詞「人形焼」のルーツを味わえる店。手焼き・無添加にこだわった七福神型の焼きまんじゅうは、観光客向けの量産品とは別物の味わいです。火曜・土曜限定の「戦時焼」は戦車など9種の型で焼かれるレアアイテム。

名物・看板商品

  • 人形焼(七福神・こしあん)1個120円
  • 戦時焼(火・土限定)9種の型でカステラ焼
  • 薄塩ビンズせんべい

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町2-4-2
  • 最寄り駅:人形町駅A1出口 徒歩1分/水天宮前駅 徒歩3分
  • 営業時間:月〜土10:00〜17:30(売切れ次第閉店)
  • 定休日:日曜・祝日
  • 電話:03-3667-4818
  • 公式サイトhttps://itakuraya.com/

6. 森乃園|【甘酒横丁入口・大正3年】110年続く自家焙煎ほうじ茶専門店

1914年(大正3年)創業以来、110年以上ほうじ茶一筋。甘酒横丁の入口に店を構え、店頭の焙煎機で毎日自家焙煎を続け、通りには常に香ばしい香りが漂います。全国100種以上の茶葉から厳選し、毎年仕入先を変える徹底ぶり。3代目・渋谷仁志氏が10年ほど前から2階で本格甘味処を展開し、『孤独のグルメ』にも登場しました。

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甘酒横丁に入る前に、香りで街を感じられる入口の店。ほうじ茶ソフトクリームは食べ歩きの定番。2階の甘味処では本格的なほうじ茶パフェやぜんざいも。

※2階甘味処は2025年7月時点で休業中との情報あり。訪問前に電話確認をおすすめします。

名物・看板商品

  • 極上ほうじ茶(3代目考案・5種ブレンド)
  • ほうじ茶ソフトクリーム 450円
  • ほうじ茶尽くしセット 1,580円(パフェ・わらび餅・ぜんざい)

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町2-4-9
  • 最寄り駅:人形町駅A2出口 徒歩30秒/水天宮前駅 徒歩5分(甘酒横丁入口)
  • 営業時間:1F毎日10:00〜19:00/2F甘味処12:00〜18:00(土日祝11:30〜)
  • 定休日:1F年中無休/2F月曜
  • 電話:03-3667-2666
  • 公式サイトhttps://morinoen.jp/

7. 高級鯛焼本舗 柳屋|【東京三大たい焼き】大正5年から続く一丁焼きの伝統

1916年(大正5年)創業。創業者は長野県の豪農(大名が泊まる本陣)出身で「柳屋」はその屋号にちなみます。麻布十番「浪花屋」、四谷「わかば」と並ぶ”東京三大たい焼き”の一つとして、たい焼き愛好家には聖地とされる店です。

鋳物の金型で一匹ずつ焼き上げる「一丁焼き(天然もの)」を創業以来貫き、現在3代目。北海道十勝産小豆の自家製粒あんを薄皮パリパリの皮で包みます。食べログ百名店2023選出。

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「東京三大たい焼き」の称号は伊達ではなく、薄皮パリパリの食感と粒あんの満足度は別格。甘酒横丁を歩きながら一匹頬張る体験は、人形町散策の象徴的シーンです。行列必至なので時間に余裕を持って訪問を。

名物・看板商品

  • 鯛焼(粒あん)1個200円
  • アイス最中 1個200円

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町2-11-3
  • 最寄り駅:人形町駅A2出口 徒歩2分/水天宮前駅7番出口 徒歩3分(甘酒横丁入口)
  • 営業時間:12:30〜18:00
  • 定休日:日曜・月曜
  • 電話:03-3666-9901
  • 食べログhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13003065/

8. 喫茶去 快生軒|【大正8年の純喫茶】向田邦子も愛したママレードトースト

1919年(大正8年)8月8日、明治政府の体質改善政策で広まった「ミルクホール」として創業。安産祈願の水天宮にちなみ「快く生れる」の意の「快生軒」と命名、二代目が禅語「喫茶去(お茶でも召し上がれ)」を冠しました。

陶製サモワール、赤い椅子、ノリタケ食器のレトロな佇まいを今も残し、向田邦子が贔屓にし、ママレードトーストを愛したエピソードも有名。TVドラマ『新参者』のロケ地としても登場しました。

nodomaruのおすすめポイント

甘酒横丁散策の締めくくりに最適。100年以上前のミルクホールの空気感をそのまま残す純喫茶は、東京でも貴重な存在です。浅草ペリカンのパンを使ったママレードトーストは、向田邦子ファンなら必ず味わいたい一品。

名物・看板商品

  • ブレンドコーヒー 約500円
  • ママレードトースト(浅草ペリカンのパン)
  • チョコレートサンデー

基本情報

  • 住所:東京都中央区日本橋人形町1-17-9
  • 最寄り駅:人形町駅A2出口 徒歩0〜1分/水天宮前駅 徒歩3分
  • 営業時間:月〜金7:00〜18:00/土8:00〜15:00頃
  • 定休日:日曜・祝日
  • 電話:03-3661-3855
  • 食べログhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13018091/

創業年順 老舗マップ早見表

創業年元号店名ジャンル最寄駅・徒歩
1576天正4年(人形町出店1954)玉英堂彦九郎京菓子人形町1分
1877明治10年三原堂本店和菓子・煎餅水天宮前0分
1884明治17年壽堂京菓子(黄金芋)水天宮前1分
1907明治40年双葉豆腐・甘酒人形町1分
1907明治40年板倉屋人形焼人形町1分
1914大正3年森乃園ほうじ茶人形町30秒
1916大正5年柳屋たい焼き人形町2分
1919大正8年喫茶去 快生軒純喫茶人形町0〜1分

おすすめ散策ルート|水天宮前駅から人形町駅へ江戸時間旅行

8店を効率よく巡る散策ルートをご紹介します。水天宮前駅起点・所要約2時間(食べ歩き含む)。江戸→明治→大正の時間旅行が楽しめます。

  1. 水天宮参拝からスタート(安産祈願の総本宮)
  2. 三原堂本店(明治10年)で塩せんべい・御守最中をお土産に
  3. 壽堂(明治17年)で黄金芋を手土産に
  4. 甘酒横丁突入
  5. 森乃園(大正3年)でほうじ茶ソフトを食べ歩き
  6. 双葉(明治40年)で甘酒で街を体感、豆乳ドーナツも
  7. 柳屋(大正5年)で東京三大たい焼きを一匹
  8. 板倉屋(明治40年)で人形焼発祥の七福神
  9. 玉英堂彦九郎(1576年)で京菓子の格を体感
  10. 喫茶去 快生軒(大正8年)で散策を締めくくる純喫茶タイム

徒歩約20分の縦断ルート、食べ歩きで2時間。これだけ密度の高い老舗散策ができるエリアは、東京でも稀有です。

まとめ:人形町は「江戸の食文化が現役で生きている」街

京菓子・人形焼・鯛焼き・煎餅・豆腐・ほうじ茶・純喫茶——10ジャンルを超える江戸〜大正の老舗が、徒歩5分圏内に「現役」で揃っている。これは戦災を免れた人形町ならではの奇跡的な食文化圏です。

明治座と水天宮を核に、芸妓・歌舞伎役者・参拝客の食文化が積層した歴史の必然。観光地化されすぎず、地元民にも愛され続けている本物の老舗ばかり。

人形町に住むということは、こうした「江戸の時間軸」を生活圏に持つということ。日々の散歩で老舗を巡れる暮らしは、他の街では得難い豊かさがあります。

人形町エリアの暮らしや物件探しに興味のある方は、こちらの関連記事もぜひご覧ください。


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